

還暦や受賞式など、何か祝いの席を設けたとき、列席者に引出物を渡すという習慣は伝統的に引き継がれてきたものである。しかし引出物としてもっともなじみ深いのは、結婚披露宴の記念品だろう。この風習は平安時代から行なわれていたようで、手土産に馬を小屋から引き出して贈ったところから「引出物」とよばれるようになったと伝えられる。鎌倉時代になると武家社会が進展し、刀剣や弓矢などの武器が贈られることもあったという。一方では、物が豊富でなかった時代に、食べ切れないほどのごちそうで客人をもてなしたことが、引出物の始まりという説もある。江戸時代には、祝いの席に焼いた鯛や鰹節などをたくさん並べ、宴会後にお土産として持ち帰ってもらっていた。これは宴席に参加できなかった客人の家族にも、お土産で慶びを分かち合ってほしいという気持ちにもとづいた風習である。いまも結婚披露宴などでは、会場で振る舞われる料理とは別に、赤飯や焼き鯛などが入った折詰が添えられている場合が多い。その場だけでなく、家に持ち帰って食べてほしいという主催者の気持ちが込められたお土産である。ただ披露宴の帰りは荷物がかさばるため、最近は軽くて手軽に持てるものが主流になっている。とくに、お菓子やカタログギフトなどが人気を集めているようだ。
病人が危篤状態に陥った場合は、近親者や親しい人に連絡をする。突然死や事故死の場合は別ですが、病気を患っていた人が病院や自宅で危険な状態になり、医師から危篤を告げられたら、家族、親しい友人、知人をはじめ、本人が会いたがっている人、勤務先や学校の関係者に至急知らせます。連絡は電話が確実ですが、先方が留守の場合は、電話電報(1時間おきに3〜4回、先方に電話をかけてくれるシステム)を頼む方法もあります。このような緊急時の連絡は、一刻も早く先方に伝えるため、時候のあいさつなどは抜きにして、単刀直入に要点だけを伝えます。また、連絡をスムーズに行うためには、身内のだれかが責任をもって連絡係をつとめます。
[参考]
ALSOK電報
「贈答」とは、贈ったり、贈り物を返したりのやりとりです。贈答の習慣は、もともとは神様への供え物として土地の産物や縁起物を持参したことに由来し、やがて位の高い人への敬意を示すしるしに献上品を贈る習慣ができ、それが発展していったものです。江戸時代には、各地の大名が参勤交代で江戸へ上るたびに、幕府へ多数の献上品を持参するようになり、武家同士の間でも贈答の習慣が広まるようになりました。寛永十二年(一六三五年)に発令された「武家諸法度」(幕府が定める大名・武家に向けた法律)には、「贈答や結婚式、宴会などの催しなどが最近華美になってきているので、今後は簡略化すること」といった内容があり、このころからすでに贈答がさかんであったことがわかります。